2012年6月7日

アキラの本因坊リーグについて

塔矢アキラの本因坊リーグでの成績は、推定2勝5敗だと思われる。
アキラが緒方九段に負けた回で(第160局)、芹沢九段が「塔矢君はこれでリーグ成績2勝3敗」と言っているから、残りを負けたと仮定してということである(なので3勝4敗の可能性も一応ある)。

しかしアキラは一体誰から2勝目を挙げたのだろうか?

1勝目の一柳棋聖戦は描写があったものの(第150局)、2勝目が誰かは作中で明言されてはいない。アキラと同じ本因坊リーグのメンバーは、緒方十段碁聖、一柳棋聖、座間王座、芹沢九段、乃木天元、畑中名人、倉田七段の七名だが、このうちアキラに勝ったことがハッキリしているのは、

緒方十段・・・第160局
座間王座・・・145局(ヒカル「座間先生との一局惜しかったな」)
芹沢九段・・・162局(伊角「塔矢は芹沢九段との一局落としましたね」)
の三名である。

つまり残りの倉田、畑中、乃木のうちの誰かがアキラに負けたわけだが、全員タイトルホルダークラスの実力者で、そう簡単にアキラが勝てそうな人物は一人もいない。
 
まず倉田の可能性を考えてみるが、私はかなり薄いと思う。あれほどに自分を追いかけてくる者に対して危機感を抱いている男が、一度や二度の対戦であっさり後輩棋士にやられたりするだろうか。「下との戦いは死に物狂いになる」と言ってるぐらいだから、死んでも勝ちにいくだろう。
それに北斗杯編中、倉田の登場機会は多く、ヒカルたちとの絡みもそれなりにあったにも拘らず、アキラとの対局結果を示唆する会話やモノローグは殆ど出なかった。このことから、特に波乱もなく順当に倉田が勝ったんじゃないかというのが私の予想である。
 
次に乃木天元の可能性だが、一番これがありそうにも思う。つまり、アキラと一柳棋聖との対局を目の当たりにし、アキラにビビったか力んだかで、つい負けてしまったということが考えられる。乃木天元は緒方十段との碁聖戦で、「粘られて押し切られた」と言っているので、結構淡白なところがあるのかも知れない。序盤で警戒しすぎてミスをし、そのまま挽回できず逃げ切られたという一局が推察される。

しかし、私は敢えて畑中名人説を支持したい!塔矢行洋の後に名人位に就きながら、リーグでプロ二年目のアキラに負けるというのは考えにくいかもしれないが、逆に謎っぷりが深まってキャラが立つ。桑原に若造呼ばわりされるところを見るに、かなり実力にムラのあるタイプなんじゃないだろうか。好調時は日本最高峰の実力を持ちながらリーグで格下にコロッと負ける、河野臨タイプの棋士なんじゃないかと私は思っている。
 
と、今回またしても妄想を繰り広げてしまったが、ハッキリ言って全て何の根拠も無い。倉田にしたって、第173局の「進藤も社も今のところ塔矢には及ばないんだよな、塔矢の持つ勝負強さには―」という台詞の解釈次第では、倉田が負けた可能性も出てくるのである。でも、こうやって色んな解釈や考察の余地が残っているのも、ヒカルの碁の楽しいところの一つですね^^。

2012/6/7初出