2012年4月1日

漫画・天地明察二巻

 ついに発売した、漫画版『天地明察』最新第二巻。


天地明察(2) (アフタヌーンKC)

二巻のあらすじ・・・怪物・関孝和の才を目の当たりにし、算術での真剣勝負を挑む渋川晴海(算哲)。一方、その晴海と師匠(道悦)との一戦を目の当たりにした日から、晴海との真剣勝負を熱望する囲碁の怪物・道策。碁打ちとしての本分と算術勝負との間で揺れる晴海に、老中・坂井忠清から、日本各地の北極星を観測する「北極出地」の命が下る! 焦りを覚えながらも晴海は関孝和への設問を完成させるが、出立まで時間は僅かしか残されていない。果たして勝負の行方は・・・ってところですかね。

巻末には、登場人物の初期設定ラフ画とおまけ4コマも載ってます。


作中で、道策が晴海(算哲)に興味を持つに至った、道策の師匠である本因坊道悦と安井算哲(晴海)の棋譜を、でーたべーすから探してきました。


 黒 安井算哲 白 本因坊道悦

196手目以降の手順は不明のようですが、結果に関しては算哲の4目勝ちらしいですね。

作中、本因坊家の研究による95手目からの想定手順。この図は白優勢との判断のようですね。94手目までで打ち掛けで、翌日95手目から再開されたようですが、次の晴海(算哲)の一手は本因坊家の面々には予想外だったようです。

キリによるいきなりのコウ仕掛け!
コウ材が多ければ、下辺の白を狙えるので有力な手かも知れませんが、黒もこのコウに負けると大損害なので打ちにくい手ですね。実際、黒から有力なコウ材も無いようで、この後右上白とのフリカワリになりますが、その図では黒良しとは言えないと本因坊家は判断しています。普通に考えると、このコウ仕掛けは時期尚早の無理気味な手にも見えますね。

実戦、本因坊道悦は、黒2のコウ立てに対し、本因坊家の想定した手順どおり白7まででコウを解消しました。このあと、黒はAに打って右上を制してのフリカワリとなったわけですが、最初に打ったBの手も無意味な手になってるし、左側の黒の一団も弱って、右上の30目の実利ではとても割りに合わないように見えます。

 でも、このあと左方の黒に対する白の攻めをシノギ切って勝ったところを見るに、最初からシノギを見越してのコウ仕掛けだったようですね。もしくは、本因坊家の想定した一番上の図の穏やかな進行では負けと判断して、成算はなくともシノギ勝負に持っていった方が勝ちの目があると判断しての勝負手だったとも考えられます。

本因坊家はこの晴海の打ち筋を邪道と断じています。確かにコミのある現代碁であれば黒勝ちとは言えないし、余りに俗っぽいコウ仕掛けで褒められた打ち方とも言えませんが、でもそれで勝ってるんだから、邪道もクソもないですよね。

『天地明察』は、いずれ原作小説の方も読んでみたいとも思っているんですが、読む暇がない上に、漫画版が面白くて、十分満足といった感じなので、当分先のことになりそうです^^。早くも三巻の発売が待ち遠しいなあ。では、また今度!

2012/4/1初出→2012/11編

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