2013年2月7日

第37期棋聖戦第三局

第37期棋聖戦第三局は、張栩棋聖が167手までで先番中押し勝ちし、今シリーズ1勝目をあげました。終局は16時34分、残り時間は張栩棋聖が2時間16分、白番の井山挑戦者が残り1分だったそうです。

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まず封じ手ですが、左下カミ取り(77手目)でしたね。昨日の記事書いた後、プロ棋士のブログ見に行ったら、高尾さん万波さんの二人ともカミ取りを予想されていて、むしろこっちが本命っぽい感じだったので、私もそうしておけば良かったと悔やんでいます。ちょっと惜しかったですね。


 黒 張栩 白 井山裕太 黒の中押し勝ち

実戦、カミ取りによって80のところに白石が来て、外の黒が薄くなったので、白は84手目から左下を動き出していきました。続いて85~89まで黒は左下を取り切り、白は中央に出るフリカワリとなりましたが、白は厚みを生かして90手目から右下を取りに行きましたね。

下辺黒の死活が問題となり、控室も中々シノギが見つけられなかったらしく、ここで勝負が決まるかと思われましたが、張栩棋聖も粘りますね。地を損しながらも103手目までシノギ、長期戦の様相を呈してきます。ここで白は、黒をハッキリ生かしてしまうのは不満と見たか、コウの狙い(O1の眼取り)を残して104と右上に転戦しましたが、ここでは右下三子取って黒を生かしてしまう進行も有力だったようですね。

黒107手目のキリはコウは残っているものの、後の進行を見るに良さそうな手でしたね。そのコウをほぼ解消した115手目に対し、116手目のノビは実利の大ですが、更に117手目に切り込んでいった手が巧い返し技でしたね。続いてこのコウが焦点になってきますが、白122と中から動いていったのも凄い手で、また険しくなっていきます。井山五冠は128手目のアテをコウ材として使いますが、必然的に右辺の攻め合いが逆転して白が取られてしまったのは痛かったですね。張栩棋聖は、右辺の得で十分と見てか131~133で手を打ちます。
137と模様を広げた手に対し、白は138と踏み込んで勝負に行きますが、黒は手厚く打ち進め、最後は黒161手目のノゾキに受け損ない、白は投了に追い込まれてしまいました。

BS解説から。山下名人によると、実戦の白150手目で切っていった手では、1と打つ方が良かったのではないかとのこと。

実戦図だが、明らかに前図と比べて地で損をしている。ただし、前図でもまだ黒が少しいいかもしれないとのことらしいが、少なくとも実戦よりかはヨセで頑張り甲斐があるだろう。

また、右辺には1~9まで一手ヨセコウの手段も残っていたところなのだが、実戦はその手段も消してしまっている。この碁はコウ材が少ないので狙いとしては遠いが、実戦は損が大きすぎるように思う。

というわけで、張栩棋聖が今シリーズ初勝利をあげ、対戦成績を1勝2敗に戻してきました。井山五冠の方は小休止といった感じですが、流石にそう簡単に4タテさせてくれるような相手でもないので、切り替えて次頑張ってほしいと思います。次の第四局まで少し間が空くので、しっかりリフレッシュして臨んでほしいですね。

第37期棋聖戦第四局は、今月の21日から、香川県坂出市「坂出グランドホテル」で行われる予定です。追加情報が入れば、また何か書くかもしれません。では、また今度。

《追記》BSで解説していた山下名人は、一日目の右辺のワカレは黒が少し厚いのではないかというようなニュアンスでしたね。また、最後の井山五冠のミスも投げ場を求めたのではないかとのことでした。因みに終局図から白はG16にノビるしかありませんが、黒はH18にサガって上辺の白二子は助かりません。お確かめください。

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