2013年3月20日

NHK杯について

今期のNHK杯もいよいよ大詰めですね。今期は、女流の向井さんが昨年の謝依旻女流三冠に続きベスト8まで勝ち上がるなどの活躍を見せ、また井山六冠もNHK杯初優勝へ向け、既に決勝進出を決めていますね。
そして先日放送された準決勝第二局で、結城NHK杯が山田規三生九段を破り、決勝進出を決めました。

 第60回NHK杯の経過

 NHK杯テレビ囲碁トーナメント

というわけで、井山六冠と結城NHK杯による決勝戦となりましたね。この二人は現在進行中の十段戦の挑戦手合いも争っていますが、先週の名人リーグでも戦っていて、同じ対戦カードってのは続く傾向がありますね。ちなみに十段戦第一局も名人リーグも井山六冠が勝利しています。

またこの二人の決勝戦といえば、三年前の第57期NHK杯大会が思い出されますね。三年前も、今回と同じで結城NHK杯は連覇が掛かっており、また井山六冠の方も初優勝がかかっていて、近年では最も盛り上がった決勝戦だったと思います。

というわけで、今週末の決勝戦を前に、その三年前の一局をちょっと振り返ってみたいと思います。


 第57期NHK杯決勝(三年前) 黒 結城聡 白 井山裕太 黒の3目半勝ち 

白は54手目までで黒石を取って上辺に大きな白地を作り、その後下辺の白も巧みにシノギ、104手目のハネダシから天元の黒石をとって中央に地を作り、放送当時は白番の井山名人(当時)が打ちまわしてるものだとばかり思っていた。当時解説の小林光一九段も形勢白よしというようなニュアンスだったと思う。
で、井山NHK杯誕生も間近かと思って見ていたのだが、「この後しばらく手順のみご覧ください」の後、黒3目半勝ちという予想外の結果を見て「!?」って感じだった。ネットでも混乱してる人多かったんじゃないかと思う。

放送後NHK講座の解説を見たところ、上辺のワカレは実際は黒が厚くて不満無いということだった。後に出てくる141手目のヨセの手筋も狙っている。

そして、白が▲(78手目)にケイマした時、黒1とシチョウアタリを打っておいてから黒3とツケコシたのが強烈で決定打となった。▲の石をちぎって黒がはっきりリードし、それ以降は手堅く逃げ切ったということだったと思う。
だからといって、白はこのツケコシを回避しようにも、あらかじめO4の当て込みはとてもじゃないけど味消しで打てない。
今週放送の結城聡―山田規三生戦でも、天元にシチョウアタリを打ってからツケコシを飛ばしたところがあったけど、ちょうどこの場面を思い出した。

十段挑戦中とはいえ、他のリーグなどではやや不振気味の結城NHK杯だけど、やっぱりパンチ力はありますね。最近の対戦成績だけだと井山六冠がリードしてるけど、早碁に関しては結城NHK杯は無類の強さを発揮するので、決勝の行方は完全に五分じゃないかと思います。

またNHK杯は、早碁ならではの勢いや駆け引き、最新の布石や実戦的な手法なども学べるので、上達を目指す上でも非常に勉強になりますね。
私も碁を始めたばかりの頃は一生懸命見てたけど、最近はとりあえず録画だけしておいて後で何の気なしに見たり、あるいは一応棋譜だけチェックしたりといった感じで、以前ほど真剣に見ることもなくなりました。
でも今回の決勝戦は、最高のカードで熱戦が期待できそうだし、何より井山六冠の碁が見られるということで、本当に今から週末の放送が楽しみですね。久々にテレビ碁の醍醐味を存分に堪能したいと思います。

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