2013年7月11日

第68期本因坊戦第六局~決着は最終局へ

第68期本因坊戦第六局は、194手までで白番の高尾挑戦者が中押し勝ちをおさめました。
これでシリーズの対戦成績は3勝3敗となり、本因坊戦七番勝負の決着は最終第七局に持ち越されることになりました。
終局は19時27分、残り時間は黒番の井山本因坊が残り2分、白番の高尾挑戦者が残り10分だったそうです。

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 黒 井山裕太 白 高尾紳路 白の中押し勝ち

一日目に53手目のハネで左下隅を先手でカバーしたのは、井山五冠らしいうまい工夫のように思いましたが、結果的にはその死活が最後まで負担になった一局でしたね。

封じ手(71手目)ですが、一間トビでしたね。封じ手後は、私は下辺で黒が白を攻める展開になると思っていたのですが、ここからの高尾九段の立ち回りは見事でしたね。
まず72と伸びて黒の形を崩しにいったのがうまく、続いて黒が左辺の形を決めに来た時に80手目とノビ切ったのが如何にも気持ちの良さそうな手で、ここらで白の雰囲気が良くなったようです。
その後、井山五冠も勝負手を放ち目いっぱい頑張りましたが、高尾九段動じることなく、手厚く押し切りました。
最後左下は黒の不利な一手ヨセコウなので、193手目で黒がコウを解消したのは仕方なかったようです。

 第68期本因坊戦第六局

 両者のコメント

高尾九段の話:「1日目は良くなかった。左下隅のコウが勝負になると思った。最後、コウを解消して勝ちがみえた。最終局は、精いっぱい打ちたい。」

井山本因坊の話:「2日間を通して、苦しい戦いだった。最後、勝負にはなったと思ったが、読めなかった。」

パンダ解説から。67手目のAの手の意味ですが、白1~3までの進行になった時に、黒はBよりもAの方が白の厚みから離れていて、いい位置にあるということのようです。

黒が1(81手目)から左上に手をつけていった時、4と手を戻したのが解説の松本七段をもうならせる好手でしたね。普通は5と出られて白失敗にも見えますが、12の急所打ちと後に出てくる左下の死活を狙ってのものだったようです。

白1(128手目)のボウシに対し、井山五冠素直に下辺を受けているようでは負けとみて、129と当てて勝負にいきました。黒が下辺を受けなかったので、白は130手目でAに手をつけていくのも有力だったようですね。この後、137手目まで黒は下辺を守ることが出来たので少し差は縮まったようです。

146手目からの左上の攻防で、調子で上辺を囲う展開になっては白の優勢が明確になったようですね。黒▲と打った手(165手目)では地で頑張るなら、Aににつなぐ方が良かったようですが、実戦は左下の万年コウを気にして手厚く打ったのではないかとのことですね。


184、185手目の交換によってコウ材が出来たので、白が左下のコウを仕掛けていくかというところで解説の松本七段の作った渾身の想定図。白57のコウ取りまでは、44とキリが入ったことによって右辺白に対してコウダテが出来る上に、黒Aで中央を黒地にする手が残っているので、白としては選びにくいとのこと。

実戦181手目の局面。部分的には1と打って万年コウの形にするところらしいですが、それでは2と継がれて負けとみて、黒は2のところのコウを取って頑張りましたね。
しかし、この後実戦190手目からのコウを仕掛けられて、そこで勝負が決まりました。

そして、先にも述べましたが、これで3勝3敗となり本因坊戦は最終第七局にもつれこむことになりました。私としては最終局まで見たいと思ってたので、一応思い通りの展開になりましたが、でも対局者は疲れもあるだろうし、大変ですね。まあでも、来週で最後なので、結果はどうあれ、両者とも悔いの残らないように頑張ってほしいと思います。

第68期本位防戦第七局は7月17日、18日に神奈川県秦野市「陣屋」で行われる予定です。追加情報があれば、何か書くかもしれません。では、また。

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