2012年12月5日

東洋六段戦 テーマ:万年コウ

 東洋六段戦1 テーマ:万年コウ



  黒 私 白 相手 黒の2目半勝ち

実戦284手目の局面。白1のコウ立てが相手のミスで、黒2とコウを解消して勝ちが決まった。黒からのコウ材はもうどこにもないけど、白からはAなど左上にもコウ材があっただけに、相手のミスに助けられた一局でした。

で、何故今回この碁を取り上げたかというと、この碁が私にとって、実戦で万年コウをうまく処理して(相手のミスに助けられて)、勝った初めての碁だからである。

万年コウについておさらいしておくと・・・

実戦右上の進行の後7~8を決め、9とダメを詰めた図が基本形で、非常に面倒な格好をしている。

隅の黒が活きるにはAにアテるコウを仕掛けるよりないが、白に先にコウの取り番を与えることになるので、黒としては仕掛けにくい。(外ダメに余裕があれば、黒Aのアテで押しつぶしになるのだが)
白はBにコウを取った後ツナいで解消できる(五目ナカデ)。外壁の白に不安がない状況では、白にとってはほとんど花見コウみたいなものだろう。
なので、黒はコウに勝つ目処が立たないうちは中々Aにいけないし、またこのコウに勝ったところで、他の大きなところを連打されては形勢悪化は免れないから、大抵の場合において黒は、Aの仕掛けを横目に見つつ先に他方へ展開することになる。

次に白の立場だけど、黒から手が残っている以上、この際さっさと黒を取ってしまおうと考えたくなる。ところがそう単純な話ではない。

まず白はいったんコウを取ることになるが、この形でにつないでも×のダメが二ヶ所空いている為、今度は五目ナカデではなくセキである。前図のコウを仕掛けるしか生きる術がなかった筈の黒が無条件で生きるんだから、黒としては不満はないだろう。

白がこの黒を取ろうと思えば、×にアテるコウを仕掛けるよりない。しかしそうやってコウをしかけたところで、今度はコウの取り番を先に黒に与えることになるのである。序・中盤の段階においてはそこまで必死になって取りに行くほどの大きさとも言えず、白からも簡単に解決できないのである。

というわけで、双方すぐには手を出しにくいのがこの万年コウなわけだが、しかしそうは言っても黒は死活がかかっている上に、白はコウかセキかの選択の余地があるので、負担としては当然黒の方が大きい。黒は他で優勢でもここの処理が終わるまでは安心できないし、白は最後まで一発逆転の可能性を残しているとも言えるのである。

私は、今まで実戦で万年コウが発生しても、大体中押しで勝負が決まったり、うまく処理できずに相手に石を取られて負けたりといったことが多かった。

万年コウが発生した時の考え方としては、黒はこの石を取られても問題ないぐらい他で差を引き離すか、終盤に向かうにしたがって、コウ材の数とコウを振り替わった時の計算をしながら、もっともいいタイミングでのコウ仕掛けを模索するよりないだろう。コウ材の数で相手を上回ることさえできれば、相手は最終的にセキで手を打つしかなくなる。

一応私は、この碁においては225手目ぐらいからコウ材の数を意識し始めたのだが、それではちょっと遅すぎるのかもしれない(ヨセも雑すぎたし)。そしてタイミングを見計らってコウを仕掛けに行ったわけだが、左上にコウダテされていたら負けていたので、処理の仕方としてはかなり甘かったと言える。

まあ今回は相手のミスに助けられたものの、しかし何はともあれ万年コウの処理方法が何となく感覚では掴めてきたので、もし次に実戦で万年コウが現れたら、もっとうまく処理できるよう、より早い段階でのコウ材を意識したヨセを心掛けたいと思います。

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