ヒカ碁第三部を夢想する《前編》からの続き
畑中名人は塔矢行洋引退後の日本の名人で、本因坊リーグにも在籍しているメガネを掛けたキャラのことだが、とうとう本編で一度もヒカル達と絡むことの無かった謎の実力者である。
和谷が楊海さんに中国棋院に誘われたり、研究会でリーグ戦をしたりというのは、和谷の成長イベントとして描かれることになりそうだが、ただそれだけに、パワーアップ後にまた噛ませキャラとして扱われそうな予感がして悲しい。
上島の異常な弱さが露呈し、グダグダのままに終わった葉瀬中囲碁部を立て直すのは、日本囲碁を復活させること以上に困難を極めそうだ(笑)。
北斗杯編ラストの「聞こえるのですか、私の声が聞こえるのですか?」は、単なる演出的な意図で描かれたものだとは思うが、一応佐為の復活を予感させるものとも解釈可能なので、第三部が書かれるならば重要な伏線となりうるかもしれない。
これらを踏まえて第三部の予想をすると、ネット上に「新たなるsai」が出現して、その正体を探る謎解き路線と、ヒカルが世界制覇するまでの道筋を軸に据えて、他の伏線を消化しながら話を展開していけば、ストーリー作りには事欠かないだろう。当然その「新たなるsai」は第三部のボスキャラで、ヒカルやアキラと戦うことになる。問題は「新たなるsai」をどうするかだけど、佐為を復活させるのか、全くの新キャラでいくのかは難しいところだろう。
と、最近ヒカ碁のSSを幾つか読んで、それが結構よく出来てたりするので、今回私も少し妄想を爆発させてみたのだが、続編が書かれるとすれば大体このような展開になるんじゃないかと思っている。
まあでも続編というのは、失敗すれば「何故余計なものを書いたんだ」と批判されることになるし、作者はあえて書かないことで「この後は読者の想像にお任せします」ということで締めくくった部分もあるだろうから、第三部に着工するというのは、結構リスクは高いだろう。名作が伝説になるか、一転駄作になるか、表裏一体の危険性を秘めている。
ちなみに、『わが天才棋士・井山裕太』
に、ほったゆみ先生と井山裕太天元の対談が載っているが、『ヒカルの碁』の続編について訊かれて、ほった先生は次のように述べている。
井山さんの将来、未来が、そのままヒカルの将来、未来ですよ。~《中略》~もし誰かに「『ヒカルの碁』に続きは無いんですか」と聞かれたら、「あ、続きは井山さんを見ていてください」と答えます(笑)。
リップサービス的な部分もあるのかも知れないが、私がやたら井山天元にこだわる理由の一つにもなっている。
2012/5/31初出