先日、本屋で漫画版・天地明察の第一巻を見かけたので思わず手に取ってしまった。
天地明察(1) (アフタヌーンKC)
冲方丁の原作小説の方は、読もう読もうと思いながらも数ページ捲っただけで早々に挫折してしまったで、代わりに購入した形となったのだが、あっという間に読み終え、早くも二巻の発売が待ち遠しくなった。原作を読んでいない以上、比較は難しいものの、漫画版でも十分に『天地明察』の世界を堪能できた気がする。
まずキャラ造形が秀逸である。実在した人物を描いているのだから当然といえば当然なのかも知れないが、これは原作小説がしっかりしている証拠でもあると思う。
主人公の渋川春海(安井算哲)の算術と暦に対する情熱や碁打ちとしての葛藤など内面描写がしっかりしているから、すぐに彼に対して愛着が湧いたし、またそのイケメンドジっ子ぶりは萌えキャラの素質十分だから、どうしても彼の行く末を見守りたくなってしまうといった具合である。
また彼を取り巻く人物も、彼の妻となるえんや関孝和など魅力的なキャラが多い。因みに道策先生も子供の姿で登場しているが、如何にも神童といった風貌であり、わんぱくな碁キチとして描かれている。従来の道策先生のイメージとは掛け離れているかも知れないが、漫画チックな道策先生も可愛くてアリだと思えたし、こうして漫画として描かれた道策先生を見ると、是非とも一度佐為(秀策)と碁を打っているところを見てみたくもなった。
碁の描写そのものは少ないが、盤面は基本的にきちんと描かれている。ただしこの物語においては、碁はメインではなく、登場人物の心理を映す小道具代わりに用いられることが多い。作画の槇えびし氏の画も江戸の世界観にマッチしているし、描写も細かく描かれてるから算術や暦に全然詳しくない私でも割とすらすら読むことができた。
天地明察は来年には映画も公開されるという事で、まだ原作小説に目を通しておられない方、もしくは私のように原作は挫折してしまったという方は、この機会に是非一度、漫画版『天地明察』を手にとってみてはいかがだろうか。
2011/11/13初出→2012/11編
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