第６８期本因坊戦第七局～井山防衛！

井山五冠、本因坊防衛おめでとうございます！

第６８期本因坊戦七番勝負第七局は、２６４手までで黒番の井山本因坊が４目半勝ちし、シリーズ４勝３敗で本因坊初防衛を決めました！　
終局は１９時４２分。残り時間は、黒番の井山本因坊が残り２分、白番の高尾挑戦者が残り８分だったそうです。

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両者ともに工夫した面白い手が多く、七番勝負の最後を飾るに相応しい大熱戦でしたね。


　黒　井山裕太　白　高尾紳路　黒の４目半勝ち

まず封じ手（７４手目）ですが、ツケでしたね。三村九段が予想していましたが、隅のいじめを防いで地で大きいという判断だったようですね。
白が左下隅を守ったので、続いて黒は７５から左辺に手をつけていきました。白は中央が危ないとみて７６と出ましたが、すかさず黒８１のアテツケがうまい手でしたね。８３手目まで白二子を取って、ここで黒優勢になったようです。
しかし、高尾九段も簡単には土俵を割りませんね。白は打開を求めて、まず９２手目から上辺に仕掛けていきました。以下１２３手目まで上辺は黒地になりましたが、代償に得た外回りを活かすべく１２４と２子を動き出していったのが厳しかったですね。下辺黒への寄りつきを見ながらヨセで挽回を図り、一時は逆転ムードかと思われました。
しかし、井山本因坊のここぞという局面での集中力は凄まじいものがありますね。１８０手目まで先手で下辺の黒をシノギ、左上のヨセに回っては黒の勝ちが確定したようです。その後も乱れることなく、精確なヨセで高尾挑戦者の追撃を振り切りました。

　第６８期本因坊戦第七局

　両者のコメント

井山本因坊：「黒８１、８３の連打で一息ついた。中央をはっきりと生き、優勢を意識。内容的に苦しいシリーズで、防衛できたのは幸運だった。

高尾挑戦者：「黒８１に対して、何か受けるべきだった。連打されては駄目。（シリーズを通して）ここまでこられて上出来だが、最後は勝ちたかった。」

BS解説から。７５手目の△のアテに対し１と抜いてしまうと、以下６までとなり、これは中央の白が窮屈そうですね。というわけで実戦白は２のところに出ましたが、この後の攻防で黒が優勢になったので、遡って封じ手のツケた手（７４手目）では普通に中央に打ってた方が良かったんじゃないかというようなことを解説の小林光一九段は言ってましたね。

実戦８８手目の局面。左辺には黒から黒A白B黒C白▲黒Dまで生きる手段が残っていたところなので、▲のツギは非常に大きい手です。

パンダ解説から。上辺の攻防の中打たれた１１２手目のキリ一本はうまいタイミングの様子見でしたね。実戦のように黒Aと換わるなら、後に黒からBのハネツギを打たれるのを防いでいる意味があります。つまり・・・

黒から▲のハネツギを決めてしまうと、隅にこのような手が生じてしまうので、黒からの先手ハネツギを阻止したのが、前図キリの効用ですね。
こういったヨセ事情を抱えていただけに、１８１手目で、中央を生きた後この左上に回ったのはやはり大きかったですね。

実戦１８３手目から左下隅を動いていったのは最善のヨセです。黒１～６までを交換したことによって・・・

後に１～３となった時、黒からAに差し込む手が残りました。前図の交換をしてないとAの地点は単なるダメにしかならないので、手筋の妙味が窺い知れますね。

というわけで、今期の本因坊戦は井山本因坊の初防衛で幕を閉じることになりました。
正直、第六局が終わった時点では、高尾九段の復位も十分あるかなと思ってたんだけど、終わってみると井山五冠強かったなってシリーズでしたね。この最終局も全然乱れないというか、勝ちが決まってからの収束ぶりは圧巻でした。

高尾九段はシリーズを通して調子も悪くなく、むしろ好局が多かっただけに残念でしたね。でも今の調子が続けば、まだこれから幾らでもチャンスは来ると思うので、気を落とさずに頑張ってほしいと思います。とりあえずはLG杯も残ってるので、井山五冠と共に優勝狙っていってほしいですね。そして、またこの二人のタイトル戦が見られるといいですね。
しかし、何はともあれ、井山五冠と高尾九段、面白いシリーズをありがとうございました&お疲れ様でした！